前回までの記事で、在宅自営業の確定申告についてお話しました。
今回はその中で頻繁に出てきた『家内労働者等の必要経費の特例』について詳しくお話します。
前回までの記事はこちらからどうぞ↓
家内労働者等の必要経費の特例とは
この特例は、確定申告をして申請することによって受けられる特例です。
国税庁によると、この様に説明されています。
これじゃイマイチ分かりにくいので、細かく・柔らかく言い換えて、各用語の解説を含めご説明します。
事業所得と雑所得
事業所得とは、給与所得者(会社員)以外の人(自営業者・個人事業主)の所得のことです。
雑所得とは、給与所得を初めとした9種類の所得の分類の、どれにも当てはまらない所得のことです。
最近増えてきた収入源で例に上げるとすれば…
・ハンドメイド販売
・YouTubeなどの収益
・ブログなどを介した広告収益
・テレビ出演などの謝礼金
・作家業(ライター等)以外の人が受ける原稿料や印税
・仮想通貨などを利用した際に発生した利益 など
どちらの所得も、『収入-経費=所得』という計算で導かれます。
※公的年金等の収入は経費ではなく別途控除がある
経費について
経費というのは、その収入を得るために使った10万円以下の品などの支出のことです。
※10万円以上の場合は、減価償却というもので計上するので別枠です。
仕事で使う消耗品(文具やコピー用紙、インク等)や、請求書を送付するための切手代なども該当します。
スマートフォンや自宅のインターネットも「家事按分」(かじあんぶん)をすれば計上することが出来ます。
家事按分とは、私用で使った割合と仕事で使った割合を計算して、仕事で使った割合だけを経費として計上することです。
・私の場合
スマートフォンの全請求の中から、電話かけ放題の料金だけを100%経費
(かけ放題が適用される電話は仕事でしかかけない為)
自宅のインターネットは、仕事の為に契約したが、Wi-Fiなどの機能を使って私用でも使っている為、使用時間の割合から50%を経費として計上
また、家賃や光熱費なども家事按分をすれば計上は可能ですが、経費に出来るのは「自分が支払ったもの」が原則。
家賃や光熱費は世帯主(夫)が契約者であることが多いですし、引き落とし口座なども夫の名義であることが大半です。
この場合、万が一税務調査などが入った場合に却下されてしまう可能性があります。
却下された部分は経費として認められず、所得が上がって『追徴課税』となる危険があるため、オススメしません。
家内労働者等とは
家内労働者等、というのは、具体的に言いますと
①内職業
②保険などの外交員
③集金人
④電力量計の検針員
⑤特定の人に対して継続的に仕事をしている人
のことです。
在宅業の場合、内職を除くと⑤が関係します。
『特定の人』というのは、『一つの会社』という意味でもあります。
特定の一社からのみ仕事を受けて働くことを、『一社専従』(いっしゃせんじゅう)と言います。
私は、特定の一社から仕事を貰っている『外注さん』です。
一社専従の外注として契約し、継続的に仕事をしている為、⑤に該当します。
具体的にはどういう制度?
ここから、実際の特例がどういう制度なのかご説明します。
家内労働者等の必要経費の特例というのは、
『たとえ経費がわずかであったとしても、最大65万円の経費がかかったことにしてあげるよ!』というものです。
事業所得でかかった経費が65万円以下だった場合に、特例の適用を受けることが出来ます。
これは、給与所得者のように1つの会社からの仕事をしている点が関係していると思われます。
給与所得者には、『みなし経費』として65万円の給与所得控除があります。
これに関しては、こちらの記事でもお話していますので、ぜひご覧ください。
雇用されていない自営業者などは、経費として実費を計上します。
しかし、家内労働者等は経費がほとんどかからないことが多いため…
例えば同じ金額の収入を得たとしても控除される金額が少なく、所得金額が多くなって納める所得税の額も多くなってしまいます。
特定の一社からのみ仕事を受けているという点では会社員と変わらないのに、です。
この『家内労働者等の必要経費の特例』は、雇用されていないと言うだけで、収入の得かたは普通の会社員と変わらない家内労働者等のための救済措置とも言えます。
要するに、家内労働者等の『特定の一社からのみ仕事を受けている人』は、給与所得者と同じように『みなし経費』が認められる、ということです。
給与所得控除の代わりの控除、というわけですね。
みなし経費が認められれば、その分所得を下げることが出来ます。
所得が下がれば、その分所得税も下がります。
『家内労働者等の必要経費の特例』を受けられれば、『減税』にもなるわけですね!
特例を受けられる人
この特例を受けられるのは、事業所得の場合は以下の家内労働者等だけ、というのは前項でお話しました。
次の記事で、特例が受けられる条件と、控除額の具体例を徹底解説します!
mea.
参考元: